住まいの豆知識・コラム

オール電化住宅の特長

投稿日:2019年09月09日

キッチンやお風呂など複数箇所にわたるリフォームを行う際には、
「オール電化」と「ガス併用」、どちらの仕様にするかを選ぶ必要があります。

料理やお風呂など、毎日の暮らしに密接に関わる選択ですから、
どちらを選ぶべきか、多くの方が頭を悩ませるポイントです。

実際双方にメリット・デメリットがあり、
リフォームに携わる私たちであっても、一概にどちらが良いとは言い切れません。

現代の日本では、家族構成や生活リズムは千差万別で、
そこに暮らす人が何を求め、何を重視するのかで判断基準も変わるからです。

後悔しない選択をするためには、それぞれの特徴を知り、
自分のライフスタイルに合っているかどうかを見極めることが重要です。

今回の住まいと暮らしの情報では、「オール電化住宅」の特徴についてお話します。
皆さまの素敵な住まいづくりのお役に立てば幸いです。

【オール電化住宅とは】

オール電化住宅とは、調理や給湯、空調など、日常生活で使うエネルギーを全てを電気で賄う住宅のことです。

そのため、ガスや灯油などの燃料を使う必要がなくなり、光熱費は電気代に集約されます。
加えて、割安の深夜電力を利用して日中に使うお湯やエネルギーを確保できるため、
光熱費の削減が期待できることや、ガス漏れ、火災の危険が抑えられることなどがメリットとして挙げられます。

設備としてはガスコンロに代わりIHクッキングヒーターが、ガス給湯機に代わりエコキュートが設置され、
併せて太陽光発電を導入するケースも多く見られます。

【安全で快適なIHクッキングヒーター】

IHクッキングヒーターは、
電気抵抗を利用して鍋自体を発熱させる仕組みにより、火を起こすことなく調理ができます。

直接火を扱わないため、燃え移りや消し忘れによる火災の心配がないことから、
子供やお年寄りのいる家庭を中心に、その安全性が支持されています。

また、熱気が発生しないため室温が上がらず、夏場のキッチンでも快適に料理が楽しめる点や、
フラットな形状で掃除がしやすい点もメリットとしてよく挙げられます。

かつてはガスに比べて火力が弱いイメージのあったIHですが、
近年の製品ではガスと比べても遜色のない火力で料理ができます。
火加減もボタン操作で簡単に調整できるので、弱火でじっくり煮込むような料理にも向いています。

難点としては、IH対応の鍋でないと使えないこと、
炒め物などの際、フライパンをあおって調理することができないことなどです。

料理が趣味で、道具の材質や調理法にこだわりがある方にとっては不満に感じるかもしれません。

ただしハイグレードなモデルでは、
従来使用できなかったアルミや銅の鍋が使えるオールメタル対応のものや、
光センサーにより鍋底の温度を正確に計測し温度を維持することで、
フライパンをあおっての調理に対応している製品も存在します。

【エコキュートで省エネと防災を両立】

オール電化住宅に搭載されているエコキュートは、正式には「自然冷媒CO2ヒートポンプ式給湯機」といい、
大気中の熱を利用してお湯を沸かすヒートポンプという技術を使った給湯器です。

電気料金の安い深夜に1日分のお湯を沸かしてタンクに貯め、
日中に使用することができるため経済的で、光熱費の削減に大きく貢献します。

なお、仕組み上、常にタンクを満たすように水が入っているため、断水の際にはタンク内の水を取り出し生活用水として利用でき、停電前に沸かしたものが残っていればしばらくお湯も使えます。

一般住宅用のエコキュートのタンク容量は370~460Lのものが多く、
非常時にこれだけの量の水を確保できるのは大きなメリットです。

特にここ数年は、豪雨や台風、地震などの災害が頻発していることもあり、改めて注目されている機能です。

注意すべき点としては、お湯切れについてです。
タンクの容量以上にお湯を使えば当然お湯がなくなります。
家族構成や利用状況を考慮して必要なお湯の量を見積り、過不足のないサイズのものを選びましょう。

また、入浴剤の使用に制限がある点にも注意が必要です。
特に硫黄や塩分が含まれるもの、にごり湯タイプのものは配管の腐食や目詰まりを引き起こすおそれがあるため使用を推奨されていません。

なお、メーカーによって使用可能とされている入浴剤もありますので、
事前にホームページ等でチェックしておくと安心です。

【太陽光発電の併用でさらに安心】

オール電化へのリフォームの際に、併せて導入されることが多いのが太陽光発電です。

オール電化の電力プランでは昼間の料金が割高に設定されているため、
日中の電力を太陽光発電で賄えば、昼間に電気を買う必要がなくなり経済的です。

導入に当たり注意が必要な点は、
設置場所によっては期待された発電量を得られない場合があることです。
理想の設置条件としては、「南向き」で「30度前後の傾斜」があることとされています。

リフォームで設置する場合、建物自体の屋根の向きや角度は変えられないため、
自宅の環境が太陽光発電に適しているのかどうかを見極める必要があります。

【停電したらどうする?】

オール電化住宅の一番のデメリットとして挙げられるのが、
「停電すると何もできない」ということです。
全てを電気に依存しているため、停電に見舞われると家中の設備が使用不能に陥ります。

ただし、災害時に最も復旧が早いインフラは電気であり、
東日本大震災のケースでも1週間でほぼ復旧を終えています。

いち早く日常生活を取り戻せるという点において、
オール電化であるということは、災害時に強みになると言えるでしょう。

また、太陽光発電を併用している場合は、
日照さえあれば停電時でも自家発電した電力を利用できます。

天候によって発電量が左右される点や、通常1500Wの接続上限があるなど、
普段通りとまではいきませんが、復旧を待たず電気を使えるのは大きな利点です。

加えて、蓄電池を設置しておけば、雨天や夜間でも電気が使用できます。
夜間に使って減った電気は、日中に再充電できるため、停電が長引いたとしても安心です。

以上のように、停電を過剰に恐れる必要はありませんが、日頃からの備えは必要です。

調理や暖房の手段として、カセットコンロや石油ストーブを用意したり、
手動でのトイレの流し方や、エコキュートからの水の取り出し方を確認しておくと、
いざという時に慌てず対処できます。

今回はオール電化住宅について、その特徴や注意点を解説させていただきました。

ガス併用住宅についても同様に解説させていただく予定ですので、
比較検討の上、住まいづくりの参考にしていただければ幸いです。

飯野物産は住宅設備の専門家として、オール電化、ガス併用問わず各種設備を取り扱っています。
リフォームをお考えの際は是非お気軽にお問い合わせください。

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